2011年度 医療事務の資格情報日記 >  医療事務の勉強と情報 > 医療保険体制と患者負担について

 医療事務の勉強と情報

医療保険体制と患者負担について

医療保険体制と患者負担について

高額療養制度については、医療機関において診療を受けた場合に、一ヶ月に支払う自己負担金の上限が定められています。これを高額療養費制度といいます。現在は、上位所得者、一般、低所得者の3段階に分かれ定められています。ここでの上位所得者とは、月収53万円以上の者をいい、低所得者とは、市町村民税非課税者などを指します。

この高額療養制度は、診療費のみが対象となります。従って、入院治療を受けた場合などで発生する、食事療養費やベッド代の室料差額などは対象になりません。また、皆さんが加入している医療保険によって制度の一部が異なります。社会保険の場合は、いったん、医療機関では一部負担金の全額を支払い、その領収書を持って保険証を発行している保険者に申請し差額分が還付されます。

これに対し、国民健康保険では、市町村によって委任払い制度があります。この委任払い制度については、医療機関におおよそ掛かる医療費を記載してもらい、事前に保険者へ申請しておくことにより、医療機関の窓口でも高額療養費の対象となる部分の支払いはしなくてもいいことになります。

これらの制度については、保険者によって内容が異なります。実際に対象になりそうな場合は、事前に確認するようにしましょう。

本来、医療機関でも案内をすることが望ましいのですが、積極的に案内をしているケースは少ないようです。これにはいくつかの理由がありますが、医療事務職員としては、患者さんに質問されても困らないように知識を持つことが必要です。

その他、入院時の食事療養費については、入院して治療を受ける場合は、院内にて食事の提供を受けることになります。これを入院時食事療養費といいます。かなり以前は、入院で提供される食事についても診療費に含まれていましたが、現在は、診療費とは別に支払うようになっています。


高度な知識と経験が必要なレセプト点検の進め方

レセプト点検は、医療事務職員にとってかなり重要な業務といえます。特に内容点検については、高度な知識と経験が必要になります。そういった意味から、内容点検ができて初めて一人前の医療事務職員といえるかもしれません。医療機関で行われている医療行為が同じであっても、医療事務職員の知識によって算定される点数が異なることは起こりうるのです。

まず、点検業務は大きく2つに分類されており、事務点検と内容点検といったものがあります。一般的に事務点検とはレセプトの上書き部分の点検レセプトの記載内容がカルテの記載と一致しているかどうかを確認することを言います。内容点検とは、診療内容と病名について医学的、診療報酬点数制度的に整合性があるかを点検することを言います。

基本的なこととして、レセプト作成のルールや提出期限について確認しておきましょう。日々の、受付から診療、会計で蓄積されたデータを診療報酬明細書に一ヶ月分まとめて記載します。また、診療報酬の算定では、同一月に一回しか算定できないと規定されているものが多くあります。一例として、検査判断料などがそうですが、外来ですでに検査を実施し判断料を算定している場合は、入院で同様の検査を実施しても判断料を算定することはできないことになっています。

多くの医療機関では医事コンピュータを使用して処理しますので、自動的にチェックがかかるシステムになっていると思われますが、知識として認識しておくことが必要です。医業収益はレセプトからなっています。患者さんが来院され診療を行い、一部負担金をお支払い頂き、残りの診療費を算定するのがレセプトです。

したがってこのレセプトが正しく作成されず算定漏れや算定間違い、記載間違いなどで本来医療機関が得られる診療費が減額されていたとしたら・・・当然、医療機関の運営はかなり厳しいものとなります。このように重要な意味を持つレセプトを点検するのが医療事務職員です。点検の精度によって医療機関の収入が大きく異なることになります。